オペアンプ回路
低雑音増幅器、DC用増幅器(ゼロドリフトアンプ) 、 I-Vコンバーター
低雑音増幅器
黒アンプ(LI-75A)を買う余裕がなかったので代用品を自作しました。ロックインアンプ用のプリアンプ、雑音測定の初段もしくは低温アンプの後の二段目に使用します。
仕様: カップリング(AC or DC)、入力インピーダンス(1MΩ) 周波数特性(DC~5 MHz)、ゲイン(100,200,500,1000)、バイアス(±5~±18 V)、入力換算雑音(1 nV/√Hz)
作製:両面プリント基板(FR4)を自前のNCフライスで加工し、最後にハヤコートを塗っています。有名な低雑音オペアンプ(AD797)の二段増幅です。スイッチでカップリングとゲインを可変にしています。※AD797のデータシートにある推奨回路を組んだだけです。
ゲイン特性:流石に数MHzまで行くとTinaのシミュレーションとズレました。試行錯誤で抵抗とキャパシタンスを変えて最適化します。※比較のために借りてきたLI-75Aも測りました。
出力雑音:入力をショートして測った雑音です。自作のバッテリー電源で駆動しているためか外部雑音(スパイク状の雑音)がほとんど乗りません。雑音測定が楽になりそうです。
入力換算雑音:出力雑音をゲインで割った入力換算雑音です。シミュレーション通りの雑音レベルを実現でき、LI-75Aより低雑音にできました。
まとめ: 材料費は5千円くらいです。データシート通りの雑音特性が実現でき、かなり満足です。Tinaのシミュレーションには会社が配布しているAD797のspiceデータを利用しています。大概のオペアンプのspiceデータは無料で配布しているので簡単に雑音のシミュレーションもできて便利です。
DC用増幅器(ゼロドリフトアンプ)
市販の低周波用のアンプにはDCを増幅するものもありますが、基本的にはACの入力を想定して作られているように思われます。そこでDCと超低周波に特化した増幅器を作製しました。このアンプとマルチメータを使うとナノボルトメータの代用ができると思われます。
仕様:差動入力(計装) 、入力インピーダンス(100MΩ)、周波数特性(DC~20 Hz)、ゲイン(20000)、ドリフト電圧(~10 nV)、バイアス(±2.5 V程度)
ゲイン位相特性:ゲインは2万倍。周波数特性はがっつりとローパスにしているのでフラットネスは10 Hz程度までしかフラットにしていません。Tinaで設計した通りに動作していることが分かります。
ドリフト特性:典型的な低雑音アンプ(LI-75A)と比べてみました。図3に示すようにLI-75Aのオフセットは時間スケールが大きくなるにつれて増大し、10時間程度では数 μV程度のドリフトが見られました。一方、自作のゼロドリフトアンプでは時間スケールにほぼ依存せず、ドリフトは10 nV程度でした。
まとめ:製作費は全部合わせても5000以下(オペアンプは合わせて2000程度)ですし、今回のようにプリント基板も出来合いのものを使えば1時間程度で作れます。性能もいい感じなので、今後はスピン流の非局所測定やショットキーダイオード検出器の初段の増幅等に使っていこうと思います。
I-Vコンバーター
定電圧測定用のI-Vコンバーターを作製しました。